依頼者の態度・値下げ・終わらない修正への備え:取引のルールと、注意から解除までの順番

「なんとなく嫌だ」を、契約書の言葉にします。行動のルールと、違反したときの順番を決めておけば、静かに線を引くことができます。

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ルールは、並べて書くだけでは半分しか効きません。破られたときに何をするかが決まっていなければ、お願いと変わらないからです。

このページの要点

  • ルールは行動で書く。互いに節度と敬意をもって接する、暴言や侮辱をしない、契約後は理由のない値下げ交渉をしない、事前の取り決めなく対面を求めない。
  • 違反したら、書面で伝える、是正の期間を置く、改まらなければ解除、解除の日までの報酬と損害を請求、の順番を書く(民法541条、648条3項2号)。
  • 無催告解除は重大・悪質な場合に絞り、損害の有無を問わない高額の賠償は置かない。賠償額の予定は民法420条1項、過大な定めは同法90条で争われる。
  • 納期の前倒しは相談と特急料金、素材やフィードバックの遅れは納期が後ろにずれると書く。直接取引を始めるときは、サイトの規約を確かめて契約書を切り出す。

最初に押さえること:態度の問題も、「取引のルール」と「違反したときの順番」で契約書に書ける

見積りを出す前から「もう少し安くならない?」と言われる。理由を示さずに値下げを求められる。意見を言うと感情的な言い方が返ってくる。終わりの見えない修正が続く。納期を急に前倒しされる。個人で仕事を受けている方の多くが、一度は通る場面です。こうした場面は、一つひとつは小さくても、積み重なると仕事を続ける力を削っていきます。

それでも断れないのは、断る理由が自分の中で言葉になっていないからです。「なんとなく嫌だ」では、相手にも自分にも説明がつきません。そこで、自分が困ってきたことを、契約書の言葉にしておきます。アトラス行政書士法人が、受注者の立場で契約書を作成・確認するときに使ってきた考え方は、次の3点に整理できます。

  1. 取引のルールを書く:互いに節度と敬意をもって接する、契約後に理由のない値下げ交渉をしない、事前の取り決めなく対面の打合せを求めない、といった行動の線引きを、契約書の条にする。
  2. 違反したときの順番を書く:いきなり関係を切るのではなく、まず「約束に反するのでやめてほしい」と伝える。改まらなければ解除できる。そこまでに進めた分の報酬は請求でき、損害があれば賠償も求められる、と順番に並べる。
  3. 行き過ぎにしない:受注者の主観だけで解除や賠償が決まる書き方や、損害の有無を問わない高額の賠償は避ける。相手に受け入れてもらえず、争いになったときにも守れないからです。

なお、フリーランス法は、従業員を使用する個人や、役員が2人以上いる法人などの発注者(特定業務委託事業者)に、一定の義務を課しています。たとえば、特定受託事業者に対する、取引上の優越的な関係を背景とした言動で、業務を遂行するうえで必要かつ相当な範囲を超えたものによって就業環境を害することがないよう、相談に応じて適切に対応するための体制の整備などの措置をとる義務です(14条1項3号)。けれども、この義務を負うのは特定業務委託事業者に限られます(2条6項)。個人事業主どうしの取引や、従業員のいない一人法人が発注者の取引では、特定業務委託事業者に課された義務(支払期日、禁止行為、ハラスメント対策など)は及びません(取引条件の明示は、これらの発注者にも義務付けられています)。発注者がフリーランス法で負う義務の整理はフリーランス法・取適法にまとめています。このページは、法律の義務がかからない場面でも、受注者が自分の契約書に書けることを扱います。受け取った契約書を直す場合は修正のお願いの伝え方へどうぞ。

「取引のルール」として書く項目

「相手を敬う」といった一般的な言葉は、争いになったとき、何に違反したのかを決めるのが難しくなります。そこで、ルールは行動で書きます。個人の受注者の契約書に入れられる項目には、次のようなものがあります。

  • 互いを尊重し、節度をもって接すること。専門家に対する敬意をもって接すること。
  • 暴言、侮辱、威迫、人格を否定する発言をしないこと。
  • 契約の成立後は、正当な理由のない値下げの交渉をしないこと。
  • 報酬の支払を遅らせないこと。
  • 事前の取り決めなく、対面の打合せや常時の待機を求めないこと。打合せはオンラインを基本とし、対面を希望するときは事前に相談すること。
  • 受注者に関する、事実に基づかない、または誤解を招く情報を、SNSなどで発信しないこと。
  • 受注者の事前の同意なく、打合せや通話を録音・録画しないこと。

最後の2項目は、SNSマーケティングの個人コンサルタントの契約書に入っていた条項です。信用や評価を傷つける発信の禁止は、契約期間中だけでなく契約の終了後も続くものとして書かれ、通話や画面共有の録音・録画は、受注者の事前の書面または明確な同意がなければ行ってはならない、とされていました。教材やノウハウを提供する仕事では、録音した内容が持ち出されて広まるおそれがあり、受注者が自分の仕事を守るための項目になります。

条文例取引の姿勢に関する条(例)

1甲及び乙は、互いを尊重し、節度をもって接する。甲は、乙が専門家として行う業務に対し、敬意をもって接するものとする。

2甲は、乙に対し、暴言、侮辱、威迫その他乙の人格を否定する言動を行ってはならない。

3甲は、本契約の成立後に、正当な理由なく報酬の減額を求める交渉を行ってはならない。業務の範囲又は数量の変更に伴う報酬の変更の協議は、この限りでない。

4甲は、乙の事前の同意なく、対面での打合せ又は常時の待機を求めてはならない。打合せは、オンラインを基本とする。

5乙は、甲が前各項に違反したときは、甲に対し、書面又は電子メールにより、違反の行為をやめるよう求めることができる。

第3項の但書は、正当な相談まで拒む趣旨ではないことを示す一文です。業務の範囲や数量を変えるなら、報酬の変更を話し合えるようにしておきます。

ルールを並べるときの注意が2つあります。1つ目は、ルールの量です。受注者にとっての「当たり前」を並べすぎると、相手方に「自分が疑われている」と受け取られます。自分がこれまで実際に困ったことを3つから5つに絞ります。2つ目は、互いに負う形にすることです。「甲は〜してはならない」だけでなく、「甲及び乙は互いに〜」の条を最初に置き、受注者も同じ姿勢を守ると書いておくと、受け入れてもらいやすくなります。

違反したときの順番:伝える、改まらなければ解除、そこまでの報酬と損害

ルールは、並べて書くだけでは半分しか効きません。破られたときにどうするかが決まっていなければ、お願いと変わらないからです。そこで、違反への対応を次の順番で書きます。

違反したときの対応の順番

  1. 事実を書面で伝えるどの行為が、どの条に反するのかを、メールやチャットなど記録に残る方法で伝え、やめてほしいと求める。
  2. 是正の期間を置く相当の期間内に改まるかを見る。期間は、たとえば7日のように、条文に数字で書く。
  3. 改まらなければ解除する是正の期間内に改まらないとき、または重大な違反のときは、書面または電子メールの通知で契約を解除できる。
  4. そこまでの報酬を請求する解除の日までに進めた分の報酬は、履行の割合に応じて請求できる。支払済みの報酬は返還しない。
  5. 損害があれば賠償を求める違反によって生じた損害の賠償も請求できる。額は実際に生じた損害を基本とする。

この順番があれば、感情的に投げ出すのではなく、契約で決めたとおりに距離を置くことができます。

民法には、この順番に当たる考え方があります。当事者の一方が債務を履行しない場合、相手方は相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときに契約を解除できます。ただし、その期間を経過した時の不履行が、契約と取引上の社会通念に照らして軽微なときは、解除できません(民法541条)。催告をせずに、直ちに解除できるのは、履行が不能なとき、履行を拒絶する意思を明確に示したときなど、一定の場合に限られます(同法542条1項)。

ここで大事なのは、態度に関する約束は、契約書に書かなければ、守る義務そのものが生じないということです。相手の暴言や無理な要求は、契約に定めがなければ、債務の不履行として解除する根拠になりにくいからです。また、請負の仕事では、受注者が自分から契約を終えるための民法上の根拠が乏しいという事情もあります。民法641条は注文者が仕事の完成前に契約を解除できる定めで、受注者の解除の根拠にはなりません。準委任であれば各当事者がいつでも解除できますが(民法651条1項)、相手方に不利な時期に解除した場合などは、やむを得ない事由がない限り損害の賠償が必要です(同条2項)。受注者から契約を終える権利を、ルール違反を理由に契約書に置いておく意味は、ここにあります。解除の手続と精算の一般的な直し方は解約・解除と精算にまとめています。

解除したときの報酬は、準委任であれば、履行が中途で終了したとき、すでにした履行の割合に応じて請求できます(民法648条3項2号)。請負であれば、仕事の完成前に解除されたとき、すでにした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できます(民法634条2号)。契約書には、民法の定めに頼らず、「解除の日までに進めた業務の割合に応じた報酬を請求できる」と書いておきます。

行き過ぎにしない:無催告解除と高額の賠償予定

受注者を守ろうとするあまり、条項が行き過ぎてしまうことがあります。SNSマーケティングの個人コンサルタントの契約書に、次のような条項が含まれていた例を整理します。

行き過ぎとされやすい条項と、直し方

条項の型書かれていた内容行き過ぎとされやすい点直し方
無催告解除の事由依頼者の暴言、侮辱、威迫、過度な要求など、社会通念上不適切と認められる行為があれば、受注者は催告なく直ちに解除できる。あわせて、業務運営を著しく妨げる行為なども事由とする。「過度な要求」「社会通念上不適切」の中身が抽象的だと、争いになったとき、どの行為が当たるのかを説明する負担が受注者にかかる。行為を具体的に書く(人格を否定する発言、脅す言動、業務時間外の連絡の強要など)。通常の違反は、書面での注意と是正の期間を置く。無催告にするのは、脅迫や再三の注意でも改まらないなど、重大・悪質な場合に絞る。
名誉・信用の毀損への賠償名誉・信用を著しく傷つけたと受注者が合理的に判断する場合は、損害の有無にかかわらず、一定の高額を賠償として支払う。別に実損害も請求できる。賠償額の予定そのものは民法420条1項で認められるが、損害の有無を問わず、判断も受注者がするとなると、公序良俗(民法90条)に照らして争われる余地が大きい。実損害も別に請求できるとすると、二重の請求に見える。定額の賠償は置かず、実際に生じた損害の賠償に戻す。名誉・信用の毀損は、禁止の条(1項)と、是正を求める手続、投稿の削除の求めにとどめる。

賠償額の予定の過大な部分が無効になるかは、事案ごとの判断です。相手方が消費者のときは、消費者契約法10条との関係も問題になります(消費者の権利を制限し、義務を加重する条項で、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効)。事業者として依頼する相手でも、同じ書き方を押し通せるとは限りません。

事務所が確認した版の経過は、次のとおりです。SNSマーケティングの個人コンサルタントの方の契約書には、条項案の一つに、損害の有無にかかわらず定額を支払わせる項が含まれていました。確認を重ねた後の版では、この定額の賠償の項は置かれず、信用毀損等の禁止の条(受注者に関する否定的な情報や事実に基づかない情報を、SNSやブログなどで発信しない)と、暴言などの不適切な行為があった場合に受注者が解除できる条が残っています。禁止の条の違反には、通常の損害賠償の請求で対応する形です。

値下げの要求への備え:契約の前と、契約の後

値下げには、契約の前の値引き交渉と、契約の後の減額の要求とがあります。分けて備えます。

  • 契約の前:見積りには、価格の前提(業務の範囲、修正の回数、納期、素材の提供の条件)を書きます。値下げを求められたときは、価格を下げる前に、前提を減らす提案(範囲を絞る、修正の回数を減らす、納期を延ばす)に切り替えます。価格の前提が変われば価格が変わる、と見積りに書いておくと、切り替えやすくなります。
  • 契約の後:「契約の成立後に、正当な理由なく報酬の減額を求める交渉を行わない」という条を置きます。そのうえで、報酬の変更は、書面または電子メールによる双方の合意に限る、と書きます。
  • 支払の段階:請求した額から、理由の説明なく差し引いた額が振り込まれる場合があります。報酬から差し引く(控除する)には、受注者の同意が必要である旨を書いておきます。

発注者が特定業務委託事業者に当たり、業務委託が政令で定める期間(1か月)以上のものである場合、受注者の責めに帰すべき事由がないのに報酬の額を減ずること(5条1項2号)や、通常支払われる対価に比べて著しく低い報酬の額を不当に定めること(同項4号)は、法律で禁止されています。契約書の約束は、この法律がかからない相手との取引でも効くため、法律の禁止と契約書の約束は重ねて使えます。報酬と支払に関する一般的な直し方は報酬・支払条件にあります。

確かめる問い 値下げを求められたときに、自分に問う

  1. 下げてほしい理由は、何か。予算の都合なのか、範囲や数量を減らせるのか、他社の見積りとの比較なのか。理由によって、応じ方が変わります。
  2. 価格を下げる以外の調整は、できないか。範囲、修正の回数、納期の調整で、価格を保ちながら歩み寄れることがあります。
  3. 一度下げると、次の取引の基準にならないか。下げた額が基準になり、次の見積りでも同じ水準を求められるおそれがあります。
  4. 下げる場合、何を条件にするか。支払期日の前倒し、一括払い、継続の約束など、受注者にも利益のある条件を結びつけます。

終わらない修正と、納期の前倒し・遅れ

修正の回数と範囲の決め方、「軽微な修正」の定義、追加作業の見積りの出し方は、業務範囲・修正回数で扱っています。ここでは、修正の依頼の受け方をルールにする方法を整理します。

  • 窓口を決める:修正の依頼は、書面(メールやチャット)で、まとめて出してもらう。口頭やその場の思いつきの修正は、依頼とは扱わない。
  • 返答の期限を決める:納品物への確認は、たとえば納品から5営業日以内に返答してもらう。期限までに具体的な指摘がなければ、承認とみなす(検収の定め)。
  • 範囲外は別の見積りにする:当初の依頼の趣旨を変える修正は、修正ではなく追加の業務として、別に見積りを出す。

特定業務委託事業者に当たる発注者は、1か月以上の業務委託では、受注者の責めに帰すべき事由がないのに、給付の内容を変更させ、または給付を受領した後にやり直させて、受注者の利益を不当に害してはならないとされています(5条2項2号)。ただし、これも発注者の属性による制約があるため、契約書に修正の受け方を書いておくことが基本になります。

納期は、受注者だけが背負うものではありません。納期の前倒しは、受注者に他の依頼者との約束があるため、一方的に決められると困ります。逆に、依頼者からの素材やフィードバックが遅れたときは、その分の納期が後ろにずれるはずです。取引条件の明示では、給付を受領し、または役務の提供を受ける期日が明示すべき事項に含まれています(法3条1項、公正取引委員会規則1条1項4号)。納期を契約書に数字で書いておくこと自体が、変更を相談事にする出発点です。

条文例納期の変更と、依頼者側の遅れ(例)

1納期の前倒しを希望するときは、甲は乙に対し、書面又は電子メールにより相談する。乙は、他の業務との調整を踏まえて、可否を回答する。

2乙は、納期の前倒しに応じる場合、特急の対応に要する追加の報酬を請求できる。額は、あらかじめ乙が示す料金表による。

3甲が提供する素材、資料、確認又は回答が遅れた場合、遅れた日数に応じて、納期は自動的に後ろにずれる。この場合、乙は遅れについて責任を負わない。

「お互いが約束を守ってはじめて間に合う」という前提を、条文にしておきます。依頼者の遅れが長引いたときの全体像は資料が届かないときで整理しています。

打合せの方法と、仲介サイトを離れて直接取引を始めるとき

片道に2時間かかる顔合わせは、依頼者には気軽な依頼でも、受注者にとっては移動時間が無給の負担になります。打合せの方法は、オンラインを基本として、対面が必要なときは事前に相談する、と決めておきます。移動の時間と費用を誰が負担するのかも、あわせて書いておきます。

仲介サイト(クラウドソーシングなど)の中だけで仕事を受けてきた方が、サイトの外で依頼者と直接やり取りを始めるときは、契約書を自分で用意する必要があります。次の点を押さえておきます。

直接取引を始める前の点検

  • 仲介サイトの規約が、サイトを介さない直接の取引や、サイトの外への誘導を禁止していないか。禁止されているなら、規約に反しない範囲で行う
  • 契約書の雛形に、他の取引の管轄裁判所が残っていないか。遠方の裁判所などが残っていたら、自分の住所地を管轄する裁判所に直す
  • 案件ごとに変わるのは、業務の内容と金額の欄だけにして、同じ契約書を使い回せる形にする
  • 繰り返し依頼してくれる相手とも、案件ごとに契約書を交わす。慣れてきた頃にトラブルが起きやすいからである
  • 電子署名で結べる形にしておく。印鑑を押す手間がなくなり、依頼者も受け入れやすい

文面の例 契約書を交わしたいと切り出すとき(例)

このたびはご依頼ありがとうございます。お互いに安心して進められるように、簡単な業務委託契約書を交わさせていただけないでしょうか。

業務の範囲、報酬、納期、修正の受け方、支払日をあらかじめ書面にしておくことで、行き違いを防ぎたいと考えております。案を添付いたしますので、ご確認ください。

相手を疑うためではなく、お互いのためとして差し出します。切り出し方は、難しく考えなくて構いません。

契約書を交わしたいと伝えたときの相手の反応は、取引を続けるかどうかの判断材料になります。契約書の中身は、相手方の取引の姿勢が映る点検表のようなものでもあるからです。条件の話し合い(金額、期間、範囲)に応じてくれる相手は、多くの場合、その後も話し合える相手です。一方、契約書を出してほしいと伝えた時点で「契約書はいらない」と渋る、内容を一切譲らずに自社に有利な条件だけで進めようとする、といった相手は、取引を見直すサインになりえます。契約書の読み方と、受け取った契約書の優先順位の付け方は読む順番、署名前の確認は締結前の確認にまとめています。

契約書の内容に関する修正を伝えたあと、先方が一歩も譲らないときは、取引をしないという選択も残しておきます。修正の優先順位と撤退の線を先に決める方法は修正のお願いの伝え方で整理しています。

受注者に起きがちなこと

よくあるご質問

失礼な態度や理由のない値下げを、契約書で禁止できますか?

「互いに節度をもって接する」「契約の成立後は正当な理由なく値下げの交渉をしない」といった行動の約束として、契約書の条にできます。ただし、書くだけでは足りず、違反したときの対応(書面で伝える、是正の期間を置く、改まらなければ解除する)まで決めておくと、約束が効きます。

暴言を受けたら、すぐに契約を解除できますか?

契約書に定めがあるかどうかで変わります。民法でも、催告をせずに解除できるのは履行の不能や拒絶などに限られます(民法542条1項)。態度の約束と、その違反の場合に受注者から解除できる権利を、契約書に置いておきます。重大・悪質な場合は無催告、通常の違反は注意と是正の期間を置く、と二段に分ける方法があります。

名誉や信用を傷つけられたときに備えて、高額の賠償を決めておけますか?

賠償額を予定すること自体は民法420条1項で認められますが、損害の有無を問わず、受注者の判断だけで高額の支払を求める書き方は、公序良俗に反するとして争われるおそれがあります。禁止の条、是正を求める手続、投稿の削除の求め、実際の損害の賠償で組み立てるほうが、守れる契約になります。

値下げの要求は、法律で防げますか?

発注者が特定業務委託事業者に当たり、1か月以上の業務委託であれば、受注者の責めに帰すべき事由がないのに報酬を減額することは禁止されています(フリーランス法5条1項2号)。ただし、個人どうしの取引など、法律がかからない相手もいるため、契約書にも、契約の成立後の減額の要求をしない旨と、報酬の変更は書面での合意に限る旨を書いておきます。

仲介サイトを離れて、依頼者と直接取引を始めるとき、何に気をつけますか?

まず、サイトの規約が直接の取引や外部への誘導を禁止していないかを確かめます。そのうえで、業務内容と金額の欄だけを書き換えれば使い回せる契約書を用意し、管轄の裁判所などの雛形の記載を直します。契約書を交わしたいと伝えたときの相手の反応は、取引を続けるかどうかを判断する材料になります。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への法律の適用は、当事者の属性や取引の内容によって異なることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が受注者(業務を請ける側)の立場で作成・レビューしてきた業務委託契約書、基本契約・個別契約、秘密保持契約書、誓約書、先方へ送る修正のお願いの文案などを、個別の依頼者・相手方が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月20日)。参考: e-Gov法令検索 / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会) / 法人番号公表サイト(国税庁)

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