このページの要点
- 発注者が出すもの(資料・権限・確認の回答)を期限付きの義務として書き、遅れの効果(免責と延長)を同じ条に置く。
- 成果物型は遅れた日数だけ納期を延ばす。期間で報酬を決める仕事は、期間を延ばさず報酬も減らさない。
- 開始日を「必要な資料と権限を受け取り、受領の完了を確認した日の翌日」にそろえ、30日で停止・再設定・解除を選べるようにする。
- 一方的な中断には実施済みの報酬と待機費用を、音信不通には催告と終了と精算を定める。通知は記録の残る方法で行う。
最初に押さえること:資料が届かないときの4つの手当てを、先に契約書に入れておく
仕事を始める前に必要な資料やアカウントの権限がなかなか届かない。確認をお願いしても返事が来ない。ようやく届いた素材が足りなくて、作業が止まる。受注者にとって、これは珍しい出来事ではありません。問題は、遅れたのが発注者の側であっても、納期は受注者の約束のまま残り、期間を決めた報酬はそのまま走り、遅れた責任だけが受注者に回ってくるという契約書が少なくないことです。
事務所が受注者の側で契約書を整えるときは、資料や回答が遅れる場面に、次の4つの手当てを入れています。
- 協力義務の条文化:発注者が出すもの(資料・素材・アカウントの権限・確認と回答)を、いつまでに出すのかと一緒に書きます。
- 納期の自動の延長:発注者の側の遅れた日数だけ、納期が延びる書き方にします。
- 開始日と期間の連動:サービスの開始日を「必要な資料と権限を受け取った日」に結び付け、期間や支払期日をそこから数えます。
- 停止・再設定・解除と精算:遅れが長引いたときに、受注者が選べる道と、それまでの報酬の扱いを決めます。
このページは、遅れや停滞を扱います。すでに合意した作業を「やはりやらない」と言われる取消しや、直前のキャンセルは解約・解除のページ、範囲を超える依頼は業務範囲・追加作業・修正回数のページに整理しています。遅れの原因が発注者にあるとき、発注者の責任で作業が止まったのにそれを受注者の責任にしない、という考え方が、このページの軸です。
参考にしているのは、販売の導線を構築して運用を支援する個人の受託者の契約書、システムの導入を支援するコンサルタントの契約書、ネットショップの構築を請け負う制作会社の基本契約と個別契約、企業から商品企画や調査を受託する個人の総合レビュー、Webシステムの受託開発の詳細レビュー、オンライン秘書の受注者の契約書です。個別の依頼者・相手方が特定できない形に整理しています。
発注者の協力義務を条文にする:何を、いつまでに、遅れたら
発注者に協力の義務があること自体は、契約書に書かなくても、取引の信義(民法1条2項)から認められる場面があります。ただ、書いてなければ、遅れたときに「協力が足りなかった」と受注者の側が主張し、証明しなければなりません。事務所が企業から調査や企画を受託する個人の契約書をレビューしたとき、受注者に厳しい義務(成果物の品質、再提出、第三者権利の免責など)が並ぶ一方で、発注者の義務は「情報提供」程度にとどまり、仕様の確定、協力、指示の明確化、承認の遅れの責任がほとんど書かれていないと指摘しました。そのため、仕様提供義務・協力義務・承認遅延の責任を明記し、成果物の不適合が発注者の責めによるときは免責とすることを提案しています。
条文に書くときの要点は、発注者が出すものを具体的に並べることです。システムの導入を支援する契約書では、次の項目が並んでいました。
- サービスのアカウントや有料プランの契約と、その利用料の負担
- 支援の対象となる業務の情報・資料・既存データを、適時かつ正確に提供すること
- 支援に必要な環境への適切なアクセス権限を付与すること
- 発注者側の担当者と意思決定者を選任し、ヒアリングやレビューに参加させること
- 質問や提案、試作に対して、合理的な期限内に回答すること
- 実際のデータを使うときに、その正確性と利用の権限を確認すること
そのうえで、遅れたときの効果を書きます。ここで、仕事の型によって書き方が分かれます。
仕事の型ごとの、遅れたときの効果
| 仕事の型 | 発注者の遅れの効果 | 条文の書き方の例 |
|---|---|---|
| 成果物を納める仕事(制作・構築) | 納期が、遅れた日数だけ延びる | 素材の提供の遅れ、確認の遅れ、意思決定の遅れ、追加の要望により納期に影響が出たときは、納期は当然に合理的な期間延長され、乙はその遅れについて責任を負わない |
| 期間で報酬を決める仕事(月額の支援・顧問) | 期間は延びず、報酬も減らない | 甲が協力を怠り、又は遅らせたことにより支障が生じた場合でも、契約期間は当然には延長されず、当該期間に対応する報酬は減額されない |
| 時間で報酬を決める仕事 | 遅れた間の待機の扱いを決める | 甲の資料の提供が遅れて作業ができなかった時間は、乙が待機していた時間として、あらかじめ定めた割合で報酬の対象にする |
期間で報酬を決める仕事は、遅れで期間が延びると、受注者が拘束される時間が増えるだけで報酬は増えません。そのため、期間を延ばさず報酬も減らさない形が基本です。
成果物型の「納期が自動で延びる」書き方は、民法の考え方とも矛盾しません。民法は、債権者(ここでは発注者)が債務の履行を受けることを拒み、または受けることができないときに、履行の費用が増えたら、その増加額は債権者の負担とし(413条2項)、債権者の責めに帰すべき事由で債務を履行できなくなったときは、債権者は反対給付(報酬)の履行を拒めないとしています(536条2項)。また、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は催告による解除も催告によらない解除もできません(543条)。つまり、発注者の遅れが原因で受注者が履行できなかったのに、発注者がそれを理由に解除することは、民法543条により、できないとされています。もっとも、どこまでが発注者の責めになるかを裁判で争うのは大変なので、条文に書いておくことに意味があります。
受け取った条文の直し方 協力義務の条文化
発注者の義務が薄い
理由発注者の協力を、期限付きの義務として書き、遅れの効果(免責と延長)を同じ条に置きます。
確認の期限がない
理由承認が得られないまま、発注者の側の都合で納品の予定日が過ぎても、受注者の遅れにならない形にします。
受注者に通知義務がない
理由発注者に「聞いていなかった」と言わせないために、受注者の側にも通知の義務を置く(その代わり、通知を怠った場合の効果を絞る)形にします。
納期は「遅れた日数だけ」延びる:起算点を決める
納期の条項で、まず確認するのは、納期がどの日から数え始めるのかです。Webシステムの受託開発の契約書をレビューしたとき、納期は「要件確定日から14営業日」という設計でありながら、契約書の中に起算点(要件確定日)も、発注者の情報提供や仕様確認が遅れたときの扱いも書かれていませんでした。これでは、発注者が仕様を確定しない間も、受注者の納期が走ることになります。事務所は、第1項・第2項の趣旨の条文を提案しています。第3項と第4項は、他の受注者側の書式にある考え方を組み合わせたものです。
条文例納期の起算点と、発注者の遅れによる延長
1乙は、甲から仕様確定の通知を受領した日から起算して14営業日以内に、本業務の成果物を納品する。
2甲の責めに帰すべき事由により、情報の提供又は仕様の確認が遅れたときは、納期は、その遅れた日数分、自動的に延長される。
3前項により納期が延長されたときは、乙は、延長された日数と理由を、電子メールその他の電磁的方法により甲へ通知する。通知を受けた日から5営業日以内に甲が異議を述べないときは、延長の日数は確定したものとする。
4甲が納期の厳守を契約上の絶対の条件とするときは、個別契約の成立前に、書面又は電磁的方法によりその旨を明示する。明示がない場合、納期は目安とする。
第3項の「通知して、異議がなければ確定」という形にすると、延長された日数を巡る後日の争いを防げます。第4項は、ネットショップの構築を請け負う制作会社の基本契約にあった考え方です。
ネットショップの構築を請け負う制作会社の基本契約では、「乙が作業を完了し、甲に対して確認を要する旨を通知した日をもって納品日とみなす」「素材提供の遅延、確認の遅延、意思決定の遅延、追加の要望、第三者サービスの審査の遅れ、外部サービスの障害などで納期に影響が生じたときは、納期は合理的な期間延長される」「仕様を変更したときは、当初の納期・見積・サポート範囲を維持する義務を負わない」と書かれていました。受注者の側から作る契約書としては、通常の書き方です。ただし、受け取った側の契約書では、納期を守る義務が受注者だけにあることが多いので、これらを逆算して足していくことになります。
フリーランス法との関係では、資料や回答の遅れの後に、発注者が給付の内容を変更させたり、やり直しをさせたりする場面に注意が要ります。同法5条2項2号は、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、給付の内容を変更させ、または給付を受領した後に(役務の提供の場合は、役務の提供を受けた後に)給付をやり直させることで、特定受託事業者の利益を不当に害することを禁じています。これは、1か月以上の業務委託(同法5条、施行令1条)が対象です。資料の遅れの原因が発注者にあるのに、その後の修正の負担だけを受注者に回す、という場面が当たります。取適法(2026年1月1日施行)の適用がある取引では、同法5条2項3号に同様の定めがあります。適用の段階はフリーランス法・取適法のページで確かめてください。
サービスの開始日を「資料と権限を受け取った日」にそろえる
月額で支援を行う契約や、初期構築から運用までを一括で受ける契約では、納期より前に、契約の「開始日」の決め方が問題になります。契約を締結した日から期間を数えると、発注者が資料やアカウントの権限を出すのに時間がかかるほど、初期構築の期間が短くなり、月額の支払は先に進みます。
販売導線の構築と運用を支援する受注者の契約書の改訂では、次の設計にしています。サービスの開始日を「発注者が必要な資料とアカウントの権限の全部を提供し、受注者が受領の完了を電磁的方法で確認した日の翌日」とし、初期構築の期間、月次の業務、最低の契約期間を、すべてこの日から起算します。開始日が確定したら、各サービス期間の始まりと終わり、支払期日を、電磁的方法でお互いに確認し、記録に残します。資料の遅れで初期構築が延びても、月額の請求の回数が増えないように、月額報酬の回数に上限を置きます。
資料が届かないときの流れ(開始日を受領の確認に結び付けた設計)
- 資料と権限の提供を依頼する発注者に、必要な資料とアカウントの権限の一覧を示し、提供の期限を伝えます。
- 受領の完了を確認し、記録する全部が揃った時点で、受注者が電磁的方法(電子メール等)で受領の完了を通知します。この通知の日の翌日が開始日です。
- 開始日から各期間と支払期日を数える初期構築の期間、月次の期間、最低の契約期間、支払期日を、開始日からそろえて、お互いに確認して記録します。
- 30日を過ぎても揃わないときは、受注者が道を選ぶ締結日から30日を経過しても提供が完了しないときは、①提供の完了まで停止、②協議で開始日を再設定、③14日前の通知で解除、のいずれかを受注者が選びます。
- 解除したときの精算解除の場合は、既に受け取った報酬を返さず、未払いの初期費用等は解除日から10日以内に支払ってもらいます。
発注者の遅れで期間に入らない日数は、受注者がそのつど通知し、一定の営業日以内に異議がなければ確定する形にしておくと、のちの争いを防げます。
この設計の肝は、受注者の通知を起点に権利が動く点です。受領の完了の確認、期間に入らない日数の通知、30日が経過したときの選択は、いずれも受注者が通知をしなければ動きません。事務所は、これらの通知を、そのつど記録が残る電磁的方法(電子メールやメッセージ)で行い、どの資料の受領なのかを特定できる形で残すよう助言しています。口頭で「届きました」と伝えただけでは、開始日がいつだったのか、あとで食い違います。
発注者が止めたとき:一方的な中断と待機費用
資料が届かないのとは別に、発注者が「いったん止めてください」と言う場面があります。企業から商品企画・調査・サンプル制作の補助を受託する個人の契約書(発注者の書式)には、発注者が一方的に業務の中断を通知でき、再開のときは改めて協議して条件を決める、という条項がありました。ところが、中断できる事由、中断の期間の上限、中断中の費用の負担が何も書かれていなかったのです。個人のフリーランスにとって、中断は収入の停止です。繰り返し中断されると、ほかの案件を入れられず、契約は続いているのに仕事がない状態になります。
受け取った条文の直し方 発注者の一方的な中断
中断の通知の権利
理由中断できる場合を絞り、実施済みの部分の報酬と、待機の費用を条文に入れます。
中断が長引いたとき
理由中断が続いたときに、受注者の側から契約を終えられる道と、その場合の精算を決めます。
準委任の仕事であれば、委任者(発注者)の責めに帰することができない事由で履行できなくなったとき、または履行の途中で終わったときは、受任者は、すでにした履行の割合に応じて報酬を請求できます(民法648条3項)。成果物型の請負でも、請負が仕事の完成前に解除されたときは、可分な部分の給付によって注文者が受ける利益の割合に応じた報酬を請求できます(民法634条)。ただ、これは、中断のあとに契約が終わる場合の話です。中断している間の待機の損失は、契約書に書かなければ、請求の根拠が弱いままです。途中までの報酬の算定の考え方は報酬・支払条件のページにまとめています。中断を「いつでも」「理由なく」できるとしている契約書は、発注者が自由に契約を終えられる条項(解約・解除のページ)と同様に、対等な予告と精算を足して直します。
連絡が途絶えたとき:催告、現状のままの納品、終了とデータの扱い
資料の遅れの最も重い形が、発注者の音信不通です。確認を求めても返事がない。催促も届いているのかわからない。受注者にとっては、作業を進めることも、終わらせることもできない状態です。ネットショップの構築を請け負う制作会社の基本契約には、この場面の条項(顧客都合による中断および音信不通)がありました。内容は次のとおりです。
音信不通の場合の流れ(受注者の書式の例)
- 7日以上、応答がない確認の依頼、回答の要請、素材提供の依頼、意思決定の要請に対して、発注者が7日以上応答しないとき、受注者は催告をすることができます。
- 催告の後、さらに7日催告の後さらに7日が経過しても、発注者から合理的な応答がなく、業務の継続が困難なときは、受注者は、現状のまま納品したものとみなして検収合格として扱うか、発注者の責めに帰すべき事由で契約を終了させることができます。
- その場合の精算既に受け取った着手金は返さず、残金の全額について支払請求権を取得します。発注者は、これが不当に高額な違約金や賠償額の予定に当たると主張できない、と書かれていました。
- 例外発注者があらかじめ具体的な回答予定日を示し、受注者がそれを承諾したときは、この条項を適用しません。
この条項は、受注者の側から作った書式としては強い設計です。発注者の協力義務違反によって、受注者が作業の時間、進行の枠、機会の利益を失うことの精算だと位置づけています。ただ、そのまま受け取って他の契約書に使う前に、考えておくことがあります。「現状のまま納品したとみなす」「残金の全額を請求できる」という効果は、音信不通が続いているだけでは、そのまま認められるとは限らない、と見るのが安全です。違約金や賠償額の予定は、民法420条により当事者が定めることができますが、額が不相当に過大なときは民法90条(公序良俗)で効力が問題になる余地があり、「主張できない」と書いても、それが裁判所の判断を当然に縛るものではありません。受注者の側が作る契約書でも、残金の全額ではなく、「実施した作業の割合に応じた報酬と、確保した枠に係る合理的な費用」に絞る、という書き方のほうが、実際に通用しやすくなります。
システムの導入を支援する契約書では、より穏当な設計が採られていました。協力を求めても相当の期間内に履行されないときは、受注者は催告のうえ契約を解除できるとし、複数回の連絡にもかかわらず30日以上相手方と連絡が取れないときは、無催告で解除できる、としています。そのうえで、受注者の疾病などで停止の通知がされている場合は、連絡不能の解除の対象から除くとする形(販売導線の構築を支援する契約書)も、受注者自身の事情への配慮として参考になります。契約の終了時は、受注者が付与された権限を、終了の日から14日以内を目安に削除するか、削除を求める。預かったデータや秘密情報は、契約の定めに従って返還または消去します。この「権限の返上」を、受注者の責任として書いておくことは、発注者との信頼にもなります。
音信不通の条項の設計:強さの段階
| 段階 | 受注者に認めること | 注意 |
|---|---|---|
| 穏当 | 催告のうえで解除、既実施分の報酬と費用の精算 | 実際に通りやすい。未払いの報酬を請求する根拠は民法648条3項・634条 |
| 中間 | 30日以上の連絡不能で無催告解除、既受領の報酬は返さない | 連絡不能の定義(複数回の連絡の記録)を決める。受注者の疾病等の停止通知を除く |
| 強い | 現状のままの納品とみなし、残金の全額を請求 | 額が過大なときは民法420条・90条で争われうる。通知の記録が必須 |
遅れたときに、受注者が残しておく記録と文面
ここまでの条項は、契約書に書いただけでは動きません。遅れが発注者の側にあったことを、あとから示せる記録が要ります。資料の依頼の日、期限、督促の日、回答のあった日、受領の完了の確認の日を、メールやチャットで、日付のわかる形で残しておきます。
資料が遅れているとき、受注者が残す記録
- 依頼した資料・権限・確認の内容と、提供を求めた期限を、電子メールなど記録の残る方法で伝えた。
- 期限を過ぎた日に、遅れている項目と、納期(または期間)への影響を書いて通知した。
- 受領した資料は、受領した日と、どの資料かを特定して返信した(受領完了の確認を含む)。
- 延長された日数がある場合は、日数と理由を通知し、異議があれば期限内に連絡をもらうよう伝えた。
- 連絡が途絶えたときは、催告の日と期限、その後の対応を書面で残した。
文面の例 資料の提供の遅れを知らせる(納期の延長の通知)
いつもお世話になっております。◯◯のお仕事につきまして、ご連絡いたします。
◯月◯日にお願いしておりました資料(◯◯、◯◯)が、本日時点でお届きになっておりません。契約書第◯条のとおり、資料が揃った日から作業を進めてまいりますため、納期の◯月◯日は、お届きの日数分、後ろにずれます。
現時点で、◯月◯日までに資料をいただければ、納期は◯月◯日となる見込みです。ご不明な点や、お届けが難しい資料がありましたら、お知らせください。5営業日以内にご連絡がない場合は、上記の日数で確定させていただきます。
責める調子を避け、契約書の条番号と日数の計算を示して、「確定」の期限を添えます。この文面は、延長を記録に残すためのものです。
受注者に起きがちなこと
よくあるご質問
発注者から資料が届かないとき、納期は自動的に延びますか?
契約書に、発注者の遅れで納期が延びる旨が書かれていれば、書いたとおりに延びます。書かれていなくても、発注者の責めに帰すべき事由で履行が遅れた場合は、発注者がそれを理由に解除することは民法543条により制約されます。ただ、何日延びるのかで争いになるので、遅れた日数分延びる旨と、延長の通知のしかたを条文に書き、そのつど通知しておくのが安全です。
月額で支援する契約で、発注者の資料が遅れた場合は、期間を延ばしてもらえますか?
期間で報酬を決める契約では、期間を延ばすと受注者の拘束が増えるだけで報酬は増えません。そのため、期間は延ばさず、報酬も減らさない、という書き方が基本です。契約の開始日を、必要な資料と権限の受領を確認した日の翌日にそろえておく方法もあります。
発注者が作業を一方的に止めたとき、待機していた分は請求できますか?
契約に待機費用の定めがなければ、請求の根拠が弱くなります。中断の条項に、実施済みの部分の報酬を日割または出来高で払うこと、合理的な待機費用を補償すること、中断が30日を超えたときは受注者が解除できることを足してもらうよう修正をお願いします。
音信不通になった発注者に、残りの報酬を全額請求できますか?
契約書に「現状のまま納品したものとみなし、残金の全額を請求できる」と書いてあっても、額が不相当に過大なときは民法420条・90条で争われうるので、実際に通るかどうかは別です。実施した作業の割合に応じた報酬と、確保した枠に係る合理的な費用に絞って請求する設計のほうが、通りやすくなります。
発注者への催促は、口頭やチャットだけでもよいですか?
有効な通知として扱われるかは契約書の通知条項によります。後日の証拠のために、日付のわかる電子メールなど、記録の残る方法でも同じ内容を残しておくのが安全です。特に、受領完了の確認、延長の日数、催告の日と期限は、記録のある形にしておきます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への法律の適用は、当事者の属性や取引の内容によって異なることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が受注者(業務を請ける側)の立場で作成・レビューしてきた業務委託契約書、基本契約・個別契約、秘密保持契約書、誓約書、先方へ送る修正のお願いの文案などを、個別の依頼者・相手方が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月20日)。参考: e-Gov法令検索 / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会) / 法人番号公表サイト(国税庁)