研修講師・オンラインコーチとして受ける業務委託契約書

講師・コーチの契約書は、回数と時間、提出物、資料の権利、相談者の情報、広報での氏名と肖像の5か所から読みます。

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録画を翌月5日までに出さないと、その分は支払の対象外になる条項が、実際の契約書にありました。

このページの要点

  • キャンセル規定の「○日前まで」は、締切の日と時刻、通知の方法、再調整の記録を契約書に書く。数え方を決めないと争いになる。
  • 録画などの提出物と報酬は切り離す。準委任の報酬は履行の割合で考え(民法648条3項)、受注者の責めに帰することができない遅れは期限の延長にする。
  • 研修資料・テンプレートは、非独占・再許諾不可・範囲を定めた許諾にして、自分の次の仕事で使える形を残す(著作権法63条)。
  • キャリアコンサルタントの守秘義務は契約で消えない(職業能力開発促進法30条の27第2項)。議事録・録画を求められたら、同意・保存・提出の範囲を契約に書く。

最初に押さえること:講師・コーチの契約は「回数と時間」「提出物」「資料の権利」「記録」「広報」の5か所を読む

企業から研修を受ける講師、運営会社から1回いくらでセッションを受けるオンラインコーチ、スタートアップから面談を受けるキャリアコンサルタント。呼び名は違っても、この仕事の契約書には共通する読みどころがあります。このページは、講師・コーチの側が受け取った(または自分で用意した)業務委託契約書を直すための整理です。契約書では、仕事を頼む側を「甲」、講師・コーチを「乙」と呼ぶことが多いので、以下もその呼び方に合わせます。

事務所は、講師・コーチの契約書を、次の5か所から読んでいます。

  1. 回数と時間:キャンセル規定の「○日前まで」の数え方、セッションの回数や1回の長さ、「回数無制限」の個別フィードバックの範囲。
  2. 提出物と報酬:セッションの録画や報告書を期限までに出さないと、報酬が支払われない条項になっていないか。
  3. 資料の権利:自分が作った研修資料・ワークシート・面談テンプレートが、誰のもので、どこまで持ち帰って使えるのか。
  4. 相談者の情報と記録:相談者の秘密を守る義務と、委託元が求める議事録・録画の関係。
  5. 広報での氏名・経歴・肖像:募集告知やパンフレットに自分の名前や写真を使う範囲と期間。

最初に、契約の型を確認します。講師やコーチの仕事は、対話・助言・講義といった役務を提供するものなので、多くは準委任(法律行為でない事務の委託。民法656条により委任の規定が準用されます)です。準委任の受任者は、結果の完成ではなく、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負います(民法644条)。売上が伸びた、面談した人が転職できたといった結果は、準委任では約束の内容に含まれません。契約書に「成約率の向上」「目標の達成」と書かれていると、その結果が出なかったときに「義務を果たしていない」と言われる余地が生まれるので、契約書の冒頭で、準委任であることと、結果を保証しないことを書いておくのが出発点になります。契約の型と条項の組合せの読み方は契約書を受け取ったら読む順番で整理しています。

このページが使う事務所の素材は、企業向けセールス研修の講師の契約書レビューと再レビュー、スタートアップから面談業務を受けるキャリアコンサルタントのレビュー、運営会社からセッション単価でコーチングを受ける個人のレビュー・追加報告・先方宛の確認文、事業者向けコーチングの基本契約と個別契約のレビューです。いずれも個別の依頼者・相手方が特定できない形にしています。

キャンセル規定:「○日前まで」の起算点・通知方法・再調整の記録

面談やセッションの契約には、キャンセルについて「実施予定日の5日前までに通知した場合は委託料が発生しない、4日前以降は発生する」といった規定が置かれることがあります。受注者である講師にとって、これは空いた時間の補償として大切な条項です。ただ、この種の規定には、「5日前」「4日前」の数え方(起算点)、時刻、休日の扱い、日程を組み直した場合の扱いが書かれていないことが少なくありません。

数え方が決まっていないと、たとえば実施日が10日の面談を、5日の夜にキャンセルしたいと連絡があったとき、「5日前までに間に合ったのか」で争いになります。民法の期間の計算の規定(138条から143条)は、日で期間を定めたときは初日を算入しない(140条)、期間は末日の終了で満了する(141条)と定めていますが、これは当事者が別の定めをしていない場合の規定です(138条)。「○日前まで」と遡って数える場合に実施予定日を算入するかどうかまで、書き分けた規定は見当たりません。したがって、契約書の中で、締切の日と時刻を具体的に書いておくのが安全です。

条文例キャンセルの規定:締切の日時・通知方法・再調整

1甲が実施予定日のセッションをキャンセルする場合、実施予定日の5日前の日の終了時(午後11時59分)までに、第○条の方法により乙へ通知したときは、当該セッションの委託料は発生しない。

2前項の通知は、電子メール又は甲乙が合意したチャットで行い、乙が受信した時に到達したものとする。通知を受けた乙は、受信した日のうちに受領した旨を返信する。

3前項の期限の後に通知があった場合、当該セッションの委託料は発生する。ただし、甲乙が合意して、実施予定日から30日以内の日に振り替えて実施するときは、この限りでない。

4日程の再調整の合意は、電子メール又はチャットに記録として残し、振替後のセッションについては、再度のキャンセルの扱いを第1項及び第3項に従う。

締切の日時を「5日前の日の終了時」のように日と時刻で書き、受信を基準にします。「同時に再調整した」という場合の合意も、記録に残す一文を入れておきます。

キャンセルの規定は、受注者の収入に直結する条項ですが、発注者側の書式では日数の数え方(起算点・時刻・休日の扱い)も、再調整の記録のしかたも書かれていないことが目立ちます。受注者に有利な条項を削るのではなく、数え方と再調整の記録のしかたを足して、運用で争いにならない形に直します。また、天災や通信障害でセッションができなくなった場合に「甲乙協議により報酬の取扱いを定める」とだけ書かれている規定は、柔軟に見える反面、結論が決まっていません。通信障害が受注者の環境が原因のときと、委託元の環境が原因のときで、報酬を分けて書いておくと、あとから争わずにすみます。

セッションの録画を、報酬の条件にされたとき

運営会社からオンラインコーチングを1回ごとの単価で請ける個人のフリーランスの契約書を、事務所がレビューしたとき、次のような条項が見つかりました。セッションの録画などの成果物を、翌月5日までに提出しなかったときは、その分は支払の対象外になる、という定めです。この契約書では、体調不良など受注者の責めに帰さない事由があれば救済される建付けでしたが、提出期限がタイトなことが、指摘の対象になりました。

報酬の支払と、成果物の提出を結び付ける書き方が問題になるのは、次の理由からです。まず、セッションそのものは行われています。準委任の報酬は、委任事務を履行したことに対して支払われるもので、履行の中途で終了した場合でも、既にした履行の割合に応じて請求できるとされています(民法648条3項)。セッションを実施したのに、録画の提出が遅れたという理由だけで、実施済みの報酬が消えるのは、この考え方と釣り合いません。次に、体調不良や機器の不具合のように、受注者の責めに帰することができない事由で遅れる場面があります。この場合に報酬を減らすことは、委託が1か月以上続くときは、フリーランス法5条1項2号(特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、報酬の額を減ずること)の問題にもなり得ます。1か月という期間は、同法施行令1条が定めています。この条の適用の段階はフリーランス法・取適法のページにまとめています。

受け取った条文の直し方 録画の提出と報酬

提出期限と報酬の結び付け

受け取った条文乙は、セッションの録画を翌月5日までに甲に提出する。期限までに提出されない録画に係るセッションについては、業務委託料の支払の対象としない。
修正の提案乙は、セッションの録画を翌月5日までに提出する。期限までに提出できないときは、乙は事前に甲へ通知し、甲乙協議のうえ提出日を定める。提出の遅れは、セッションに係る業務委託料の支払期日に影響しない。ただし、甲が相当の期間を定めて催告し、その期間内にも提出されない場合は、甲は当該セッションに係る録画の提出を求める以上の措置を取らない。

理由実施済みのセッションの報酬と、録画の提出という付随的な義務を切り離します。提出が遅れたことの効果は、催告と協議にとどめます。

提出できない事由

受け取った条文(提出の遅れに、乙の責めに帰することができない事由がある場合の扱いが、条項の中で明らかでない)
修正の提案乙の責めに帰することができない事由(疾病、機器・通信回線の障害、甲の指示の遅れその他)により提出が遅れたときは、前項の期限を、その事由が続く間延長する。

理由民法415条1項ただし書の考え方(債務者の責めに帰することができない事由による不履行は賠償責任を負わない)と、報酬を減ずる条項の関係を、契約書の中で明らかにしておきます。

録画そのものにも注意が要ります。コーチングやキャリア面談のセッションには、相談者の声や顔、悩みの内容が映り込みます。これは相談者の個人情報です。録画を甲に提出する場合は、相談者への説明と同意を誰が取るのか、録画の保存期間と保存場所、提出後は誰が管理するのかを、契約書に書いておきます。個人情報保護法は、個人データの取扱いを委託する者に、委託先への必要かつ適切な監督を求めています(25条)。録画を預かる甲の側にも責任があるので、受注者の側から「同意の取得は甲が行う」「提出した録画の管理責任は甲に移る」と整理を求めることは、不自然ではありません。

同じ契約書には、検収期間が納入から40日と長いものもありました。ただ、これは通知がなければ合格とみなす定めがあったため、事務所は「やや長いが致命的ではない」と評価しています。みなし合格のない検収期間を置かれる場合は検収・契約不適合のページの考え方で読み替えます。

研修資料・ワークシート・面談テンプレートの権利と、持ち帰れる範囲

講師が作った研修資料は、著作物(思想又は感情を創作的に表現したもの。著作権法2条1項1号)になりえます。著作者は、資料を複製する権利(21条)や翻案する権利(27条)を持ち、氏名表示権(19条)と同一性保持権(20条)という人格的な権利も持ちます(17条1項)。講義そのものも、言語の著作物を口述する形で利用されます(24条)。契約書でこれらをどう扱うかによって、講師が次の仕事でも同じ資料を使えるかが変わります。

企業向けセールス研修の契約書は、研修の資料や台本、動画教材の権利を、講師(乙)に残す形で書かれていました。そのうえで、委託元(甲)は社内利用に限って使えるとしていました。この書き方は、講師にとって自然ですが、事務所のレビューでは「利用範囲が足りない」と指摘しています。社内利用とだけ書くと、複製や加工、子会社や外注先への共有、クラウドでの共有、SNSへの掲載が許されるのかが読み取れません。そこで、非独占的な利用権であること、再許諾はできないこと、複製・改変・引用・共有の範囲、クラウド共有や外部SNSへの掲載の禁止、子会社・下請への再使用の禁止、侵害されたときの差止めなどを明記するよう、再レビューで挙げています。

著作権法63条は、著作権者が他人に利用を許諾でき(1項)、許諾を得た者は許諾に係る利用方法及び条件の範囲内で著作物を利用できると定めています(2項)。また、その利用する権利は著作権者の承諾がなければ譲渡できません(3項)。「範囲」と「条件」を契約に書いておくほど、この規定が働く足場が固まります。

資料・テンプレートの権利:受け取った書き方と直し方

場面受け取った書き方講師に起きること直し方
面談ログ・テンプレート業務の過程で乙が作成し甲に提供した成果物の著作権はすべて甲に帰属し、乙は著作者人格権を行使しない中間の報告資料、面談の記録、自分のテンプレートまで成果物に入りかねず、次の仕事で使えなくなる成果物を「甲のために個別に作成した報告書等」に限り、乙の既存のテンプレート・ノウハウは乙に留保する
ポートフォリオ実績としての利用は甲の事前の許可を要する承諾の申請方法・期限・公開できる媒体が決まっていない承諾の申請先・回答期限・公開媒体を書き、特定の顧客を識別できない範囲では許可なく紹介できる一文を足す
研修資料乙に帰属する。甲は社内利用に限る利用の範囲が読めず、持出しや再配布を止める根拠も弱い非独占・再許諾不可・複製や共有の範囲・禁止行為と違反時の措置を足す

著作権を移すなら、27条・28条の権利を特掲しないと譲渡した者に留保されたものと推定されます(61条2項)。移転の時期と人格権の書き方は知的財産のページを参照してください。

権利の移転、全部移転の条項の直し方、実績公開の書き方は、知的財産のページに詳しく書いています。ここでは、講師の仕事に特有の2点だけ補います。第1に、研修の受講者が資料を持ち帰る場面です。受講者に配る資料の利用は、受講者本人の復習に限るのが一般的な線です。社内の別の研修で転用されたり、他の人に渡されたりすると、講師の事業が成り立たなくなります。第2に、セッションの録音・録画・画面の保存・AIによる文字起こし・SNSへの投稿です。事業者向けのコーチング契約のレビューでは、これらを事前の承諾がない限り禁止する条項を置くよう、受注者の側から提案しました。

相談者の秘密と記録:資格をもつ講師・コーチの守秘義務と、委託元が求める議事録・録画

キャリアコンサルタント(国家資格の名称です。職業能力開発促進法30条の28は、キャリアコンサルタントでない者がこの名称やこれに紛らわしい名称を用いることを禁じています)には、法律上の守秘義務があります。キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならず、キャリアコンサルタントでなくなった後も同様です(同法30条の27第2項)。委託元との契約でどう定めても、この義務がなくなるわけではありません。

ここで問題になるのが、委託元の契約書にある「必要となる議事録の作成や録画など記録を行い、甲の求めに応じて報告する」という条項です。この条項には、記録の保存期間と保存する人、記録の中の相談者情報の扱いが書かれていないことがあります。相談者が「キャリアの相談」として話した内容が、そのまま委託元に渡るのであれば、相談者への説明と同意が必要になりますし、守秘義務との関係も整理しておかなければなりません。

確かめる問い 相談者の情報を扱う契約書で確かめること

  1. 記録は何のために、誰に提出するのか。報告の目的が面談の質の確認なのか、相談者本人への支援なのかで、必要な範囲が変わります。目的を契約に書いてもらいます。
  2. 相談者への説明と同意は、誰がいつ取るのか。相談者が、記録が委託元に渡ることを知らないまま話すことのないようにします。説明の担当と文面を決めます。
  3. 記録の保存期間と保存場所はどうなっているか。保存義務の期間と、保存する人(甲か乙か)が決まっていないと、証拠管理も事故のときの責任も曖昧になります。
  4. 守秘義務の例外(開示してよい場合)はあるか。法令に基づく場合などの例外を、法定の守秘義務と矛盾しない形で置きます。

講師・コーチの契約書では、記録を取る義務が書かれているときは、保存・管理・同意・例外の4点を契約書に足すことを基本にします。秘密保持条項そのものの直し方は秘密保持・NDAのページ、受託者が個人データを預かるときの義務は同ページの存続と返還の節も参考になります。

コーチングに含まれない業務、「回数無制限」、サポート窓口の範囲

コーチングは、経営コンサルティング、心理カウンセリング、医療行為、法律相談、投資の助言などとの境目が曖昧になりやすい仕事です。事業者向けのコーチング契約のレビューでは、コーチ(乙)の業務は目標設定・課題整理・行動支援にとどまること、医療行為、心理療法、法律・税務・投資に関する助言、業務の代行、成果の保証を含まないことを明記するよう提案しています。これは説明の規定ではなく、責任の範囲を決める防御の条項です。相談者が「コーチに言われたとおりに事業を進めて損をした」と主張したときに、契約書が最初に読まれます。

もう一つは、「個別フィードバック(回数無制限)」のように、回数を決めていないサービスです。企業向けセールス研修の再レビューでは、「合理的な範囲」と書かれている部分を、回数・時間・件数の目安に置き換えるよう指摘しています。あわせて、回答の形式(動画・文章・音声)と記録の方法、チャットを使える時間帯、返信の義務の有無と対応時間の目安、返信が遅れたときの責任の制限も、決めておく項目です。仕事の範囲そのものの考え方は業務範囲・追加作業・修正回数のページで扱っています。

条文例コーチングの範囲を決める規定

1本件業務は、乙が甲に対し、目標の設定、課題の整理、行動計画の確認及び振り返りの支援を、対話により行うものであり、準委任契約とする。乙は、善良な管理者の注意をもって本件業務を行うが、甲の売上、利益、成約、資格の取得、心理状態の改善その他の特定の成果を保証しない。

2本件業務には、医療行為、心理療法、法律・税務・投資に関する助言、甲の事業の経営判断の代行、営業・資料作成・SNS運用の代行を含まない。

3セッション外のチャットでの相談は、平日の午前10時から午後6時までに限り、乙が合理的な範囲で対応する。返信は、受信した日の翌営業日までを目安とし、返信の遅れについて乙は責任を負わない。

4契約期間内に、甲の都合で実施されなかったセッションは、乙が別途認める場合を除き、失効する。ただし、実施予定日の5日前までに通知があったときは、前条の振替による。

個人の消費者を相手にするときは、失効や返金不可の条項を強くしすぎると消費者契約法の問題になります。ここでは、事業者向けの契約書を前提に書いています。

事業者向けのコーチングの基本契約と個別契約を組み合わせるときに、もう一つ気をつける点があります。個別契約が、基本契約と食い違ったときは個別契約を優先する、という規定です。この規定があると、個別契約の記載ミスや簡単な特記事項によって、基本契約の重要な防御(成果の非保証、知的財産、秘密保持、責任の制限、キャンセルの規定)が意図せず上書きされることがあります。事務所のレビューでは、「個別契約に明示的に異なる定めがある場合に限り、個別契約を優先する」と書き換えるよう提案しています。書類の優先順位は、契約を読む順番のページ(読む順番)でも扱っています。

募集告知・パンフレットでの氏名・経歴・肖像の使われ方

講師やコーチは、委託元の募集告知、会社案内、ウェブサイトに、氏名・経歴・顔写真が載ることがあります。キャリア面談の契約書では、委託元が受注者の氏名・経歴等を広報に利用できる定めが置かれていましたが、使える媒体、期間、削除を求める手続が書かれていませんでした。契約が終わったあとも、古い経歴や写真が使われ続ける、ほかの講師の募集用ページに載ったままになる、という事態が起きます。

受け取った条文の直し方 氏名・経歴・肖像の利用

利用の範囲

受け取った条文甲は、乙の氏名、経歴、肖像等を、広報の目的で利用することができる。
修正の提案甲は、乙の氏名、経歴及び乙が提供した肖像を、甲の公式ウェブサイト、会社案内及び募集用の資料に限り、契約期間中、利用することができる。上記以外の媒体で利用するときは、乙の事前の承諾を得る。

理由媒体と期間を絞り、範囲外は承諾制にします。

契約終了後

受け取った条文(特段の定めなし)
修正の提案契約が終了したときは、甲は、乙から求められた日から30日以内に、乙の氏名、経歴及び肖像を、甲の管理する媒体から削除する。第三者が作成した媒体で削除が困難なものについては、更新の際に削除する。

理由削除を求める手続と期限を決めます。紙の資料など、すぐに回収できないものの扱いも書いておきます。

肖像や氏名の使い方は、信用にも関わります。講師やコーチが「元の委託元に所属している」と見られたままになると、独立後の仕事にも影響します。委託元の側に「実績としての利用」を求められることもあるので、双方が使える範囲を対等に書く工夫が要ります。実績として自分の名前で紹介できる範囲の書き方は知的財産のページの実績公開の節が参考になります。

受注者に起きがちなこと

よくあるご質問

キャンセル規定の「○日前まで」は、どう数えると安全ですか?

契約書の中で、締切の日と時刻を具体的に書くのが安全です。たとえば「実施予定日の5日前の日の終了時(午後11時59分)まで」と書き、通知は電子メールやチャットで、受信した時に到達したものとします。民法の期間の計算の規定は当事者が別に定めれば譲るので(民法138条)、契約で決めたとおりに数えられます。

セッションの録画を出さないと報酬が出ない、という条項は受け入れてよいですか?

準委任の報酬は、履行した事務に対して支払われるもので、履行の中途で終了した場合も既にした履行の割合に応じて請求できます(民法648条3項)。実施済みのセッションの報酬が、録画の提出の遅れだけで消えるのは、この考え方と釣り合いません。提出が遅れたことの効果は、催告と協議にとどめ、受注者の責めに帰することができない事由による遅れは期限の延長とする、という修正をお願いします。委託が1か月以上続くときは、報酬の減額がフリーランス法5条1項2号の問題になることもあります。

自分が作った研修資料は、委託元に渡してしまうことになりますか?

契約書に権利の移転が書かれていなければ、資料の著作権は作った講師に残ります。そのうえで、委託元が使える範囲(社内利用、非独占、再許諾不可など)を許諾として書くのが、講師の側の基本形です。移転を求められたときは、自分のテンプレートやノウハウを除き、移転の時期を支払の完了に結び付けます。

キャリアコンサルタントの守秘義務は、委託元との契約でなくなりますか?

なくなりません。キャリアコンサルタントは、業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならず、資格を失った後も同様です(職業能力開発促進法30条の27第2項)。そのため、委託元が求める議事録や録画については、目的、相談者への説明と同意、保存、提出の範囲を契約書に書いて、法定の義務と矛盾しない形にしておきます。

募集告知に載せる氏名や写真は、どこまで認めてよいですか?

使える媒体(公式ウェブサイト、会社案内など)と期間(契約期間中)を限り、契約が終了したら、求めがあった日から一定の日数以内に削除する、という形で認めるのが無理のない線です。範囲外の媒体で使うときは、そのつど承諾を得る形にしておきます。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への法律の適用は、当事者の属性や取引の内容によって異なることがあります。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が受注者(業務を請ける側)の立場で作成・レビューしてきた業務委託契約書、基本契約・個別契約、秘密保持契約書、誓約書、先方へ送る修正のお願いの文案などを、個別の依頼者・相手方が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月20日)。参考: e-Gov法令検索 / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会) / 法人番号公表サイト(国税庁)

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